暗号資産の業界ではステーブルコイン元年と言われるほど、日々存在感を増しているステーブルコイン。
世界中で多種多様なステーブルコインが生まれる中、ついに「日本初となる国産ステーブルコイン」が誕生しました。
その名もLCNEM(エルシーネム)。
今回そのLCNEMの生みの親、木村優(きむらゆう)さんにインタビューしてみました!
(写真 = LCNEM CEO 木村優)
仮想通貨業界に入るきっかけは?
木村 僕、大学は経済学部に入ってまして何かゼミの中でビットコインの投機が流行りだしたんですよね。で、まあそれに乗ってたんですけど
クリプト教授(以下教授) それっていつぐらいのお話ですか?
木村 3回生の夏ぐらい。2017年の6月7月辺りですかね。
教授 一回アルトがバーンと上がった後の。ビットコインキャッシュが分裂した時の。梅雨から8月にかけて、ビットコインが王に君臨した時ですね。
木村 そうですね。
教授 なるほど、木村くんは、皆が流行ってるの見て、スタートしたみたいな感じ。
木村 そうっすね(笑)軽ーい気持ちで、特に何も考えずやってましたね。
教授 もうその時はプログラム書けたんですか?
木村 プログラミングは中3から趣味でやってたんで。
教授 なるほど、そっからプログラミングスタートしたんですね。
木村 最初C言語から入って、で、C言語は大体一ヶ月ぐらいで飽きたんで、次C#始めて、ずっとマイクロソフト信者なんでずっとWindows使っててMac全然使わないんですよ。
教授 そうなんですね。
木村 今もWindows使ってるんでMac使わないですね。
教授 で、その、ゼミで流行りだしてからはその後どんな感じだったんですか?
木村 えっと流行りだして、そのゼミの雰囲気が高じて、グループ論文もブロックチェーンのインセンティブ設計で書こうかってなったんですよね。そこから、めちゃめちゃ調べだしたんですよね。最初マイニングの仕組みから調べだして・・・
教授 京大でしたっけ。
木村 そうですね。京大の経済学部で、ゼミ論文を。
教授 文字数どれくらい・・・2万とか?
木村 うーん、2万はいってないような気がしますね。だけど、結構数式を使った論文なんで、日本語ゴリゴリというよりは、数式のモデルでっていう感じの分析やったような気がします。
教授 ゼミで何人ぐらいがその仮想通貨とかブロックチェーンの話してたんですか?
木村 うちの学年が10人位で、全学年各10人ずつくらいなんですけど、当時の僕ら三回生が5人と、二回生5人くらいで。
教授 でもなんか、19歳ぐらいで流行ってるわけじゃないですか。その時に、ビットコインの上げ?アルト上がらないのに、ビットコインだけ上がる!ってなった時って、ゼミも授業も手を付けず、コインチェックばっかり見てたんじゃない?
木村 うーん、何か元々、授業出ない人が多いんですよ(笑)ゼミだけ行って授業はテストだけ受けるみたいな。そういう、ちゃんと勉強出来る人は周りに多かったですね。
教授 その時の、発表した論文ってどんな感じの内容だったんですか?
木村 えーっと、ブロックチェーンで、マイナーの手数料が変動性の場合は逆にマイナーが手数料を釣り上げる方に仕向けるインセンティブが生まれる恐れがあるっていう内容ですね。それをメインに、一部の状況ではユーザーが送金手数料を設定する方式じゃなくて、一律固定にした方がいい状況があるかもしれないっていう結論で
教授 経済学部的なアプローチですね。
木村 そうですね。インセンティブで完全にやりましたね。
教授 なるほど。それ、先生とかも、まああんまり詳しくないじゃないですか?発表して理解されるんですかね?
木村 一応、理解してはりましたね。何か、軽くマイニングの仕組みとかも論文の冒頭で触れたっていうのもあるんですけど、どっちかっていうと技術の事知らなくても経済学知ってれば分かるみたいなレベルに落とし込んだんで。
教授 そういう事か。
LCNEM設立のきっかけ
木村 きっかけは、何かまぁ、ネムでブロックチェーン開発するのって楽やなぁって感じで。
教授 ネムすごいですよね。
木村 ネムめちゃめちゃ簡単なんですけど、まぁ仮想通貨がそもそもの、どうやって価格が決定されるかって考えたら、結局はビットコインみたいなブランド性だったりとかあとはもう皆が「上がれ上がれ」って熱狂して、いく感じで、結局ボラティリティ・・・まぁその相場の変動が収まるのってなかなか理論的に難しいんじゃないかなって。
教授 なかなか難しいですね
木村 結局実用に関しては、ステーブルコインはよ作っちゃったほうが絶対、それしか有り得ないと思って。仮想通貨を実用に使うには絶対無理だなっていう気がしたんで、ステーブルコインしかねぇなって感じでしたね。
で最初は、めちゃしょぼい話なんですけど、キャベツとかがめちゃめちゃ高騰してたんですよね。
だからキャベツトークンとか作って、そこでその何かブロックチェーンでショップを、先物市場みたいなの作っとけば、何かリスクヘッジ安く出来るんじゃね?みたいなしょうもない発想があったんですけど、それやるにはそもそもステーブルコイン無いと無理やなみたいな。
先ステーブルコインやなって感じで、落ち着きましたね。
教授 LCNEMについて簡単に説明してもらってもいいですか?
木村 LCNEMはブロックチェーン使った、まぁインセンティブ設計とか重視したサービス開発とかしてるんですけど、一番が「LCNEMチェック」っていうステーブルコインですね。今は、日本円だけ対応してまして、ネムブロックチェーン上でまぁJPY発行してるんですけど、あのー、もうすぐcosmosネットワークに対応するために、LCNEMチェック専用の『テンダーミントブロックチェーン』をリリースする予定です。
教授 ちなみにLCNEM、僕が欲しいってなったら、どうしたらいいんですか?
木村 えーっと、LCNEMチェックのサイトから
教授 LCNEMチェックっていうサイトがあるんですね。
木村 そうですね。cheque.lcnem.comっていうアドレスに行くと、購入のフォームがあるんですよ。そこで、自分のNEMのアドレスだとかメールアドレスとか、欲しい量とか打ち込んで、ポチッと押すと、出来ます。
教授 で、お金を入金するんですよね。
木村 そうですね。
教授 信用のところはどんな感じですか?
木村 そうですね。でー、僕らあの、仮想通貨じゃなくて前払い支払手段として発行してるんですよ。それやと、資金決済法上、前払い支払手段は未使用残高の50%を供託する義務があるので、そこの供託があるので、裏付けなき発行っていうリスクは日本政府が担保してくれてるんで。逆に僕らが裏付けなき発行をしまくると、罰せられるんですよ。
教授 なるほど、ちゃんと法律通してるから、安心してくださいという事ですね。
木村 仮想通貨として発行すると、そこの供託義務が無いので、100%自分らの好きなように発行出来るんで、だからその、※テザーみたいな疑惑は起こるかもしれないんですけど前払い支払手段として発行してるんで、その疑惑は無いですね。
教授 だから、もう絶対に50%は供託しないといけないから、国が補償してるようなものという事ですね。何だったら国が半分持ってるという、話が出来ますしね。
木村 そうですね。だから、50%預けないといけないという事は、僕らがむやみやたらに発行するメリットが無いんですよね。なので、裏付けなき発行も、インセンティブ的には守られてるという。
※テザー=テザー(tether)は、Tether社が2015年2月から発行している、米ドルとペッグした暗号通貨。 テザー疑惑とは、レートが米ドルに固定されているものの、裏付けとなるドル資産を持っていないとの疑惑が浮上している件。
LCNEMの実用化は?
木村 現時点で使えるサービスとしては、僕らのWalletとかで使えるんですけど、そういう投げ銭とかで実装した例はまだ無いですね。
教授 なるほどなるほど。じゃあ基本的にNEMが使えるサービスでは、使えるという事ですね。例えば飲食店とかに、PayPayのように使う事は出来るんですかね。まぁそれやるにしても、対戦相手がPayPayとかOrigamiとか、その辺になるなら100億円ばらまかないといけないですかね。
木村 そうですね(笑)
今後の仮想通貨の価格について
木村 僕ほとんど、保有してないんですよ。開発用にその、XEMだとかビットコインだとか、ちょっとずつ持ってるぐらいなんですけど、まぁ結構考えたんですよ。トークン価格どう決まるかみたいなのってで、結局何やろ・・・ビットコインみたいな、コモディティみたいなトークンって、結局は、ブランドじゃないですか。
教授 そうですね、完全にブランドですね。
木村 で、まぁブランドってやっぱり、面白いとアカンし、雰囲気で結果が変わるわけじゃないですか。なので、ビットコインに関しては、最近言ってたライトニングネットワークだとか、セカンドレイヤー。ファーストレイヤーの拡張はまぁ難しいんですよ。そういうライトニングタグの拡張が皆面白いなって雰囲気になれば、面白いって雰囲気、上昇ムードには、なるかなって気がしてますね。
他のブロックチェーンに関しては結構そのユーティリティトークンみたいな雰囲気があるんで、ブランドというよりは、実用性じゃないですか。なので、使いやすいブロックチェーンだったりとか、そのブロックチェーンを使ったサービスが増えていくだとか、そういう雰囲気になると、上昇する雰囲気が、起こりそうだなという気はしてますね。
教授 じゃあ基本的には、上げで?
木村 そうですね、多分上げですね。
LCNEMの将来について
木村 そうですね。第三者型の前払い式支払手段の登録をして、どんどんユースケースを増やしていくっていうのはあるんですけど、その他にもセキュリティを固めてるチェーンの、セキュリティを借りるみたいな、方式も最近考えられてきて、まぁイーサリアムのプラズマとか、cosmosネットワーク対応の、『テンダーミントブロックチェーン』みたいな発想とかもあって。
木村 LCNEM Chequeをcosmosにも発行予定ですし、そういう発想もあるんでそういう分散システムがどんどんどん増えてきて、ただのアプリの中に投げ銭っていう状況から、分散システムの中でJPYをやり取りするのとか、すごい何かその面白い感じになりそうやなって雰囲気に、なって欲しいですね。
教授 いいですね。一つのブロックチェーンの中だけで終わる訳じゃなくそれを踏まえて色々大きな所で、っていう事ですね。色んなサービスで使われるようになったりとか。でそこでステーブルコインってなれば、日本円として価値のあるものとして、分かりやすい・・・
木村 そうですね。そこで、秘密鍵管理とかも、もっといい方法が出てきて、リテラシー的な問題もその解決できると、ユーザーがどんどん使っていければ、分散システムエコシステムが出来上がるかなと。